対馬紀行-旅の終わりに 27

dilbelau

2012年01月14日 21:40

つづき

私たちは八幡宮神社を後にして、そろそろ厳原港へ向かうことにした。帰りのコビー号は15:40発。1時間前に港に来て手続きをするように言われていたのだ。

その前に、近くのドラッグストアに立ち寄って、韓国では手に入りにくい常備薬などを購入。この時買った品物が、その後の大騒ぎの原因になろうとは、この時はもちろんまだ知る由もなかった。

ドラッグストアを出て、港へ。レンタカーを返却する前に近くのスタンドで給油。何とリッター172円もして驚いた。この値段がその頃の日本の平均的なものなのか、対馬が島なので本土より高いのかは分らないが高い!!

次にレンタカーを返却。前日、港でレンタカーを借りた時、レンタカー会社の事務所に行って手続きをしたわけではなく、港の片隅(戸外)で立ったまま説明を聞き、代金を払ってキーを受け取った。返却については特に説明がなかったが、釜山でネット予約をしたとき、港のすぐ近くに営業所があるように書いてあったので、そこに返しに行けばいいのだろうと思っていた。

しかし、例によってカーナビがうまく作動してくれないので、スタンドの店員さんに営業所の場所を聞いてみたが、「さぁ・・・」 と心当たりがない様子。このすぐ近くのようなのに、スタンドの店員が知らないとはおかしいなと思いつつ、その辺りを適当に少し走ってみたがやはりそれらしき建物は見当たらない。

もしや港の建物の中に営業カウンターでもあるのかと、夫が探し回ってくれたが、やはりない。仕方なく、港の建物からレンタカー会社に電話。するとすぐに担当者が車を引き取りに来てくれた。無事、引き渡しができたので結果オーライだが、最初に、車の返却方法についての具体的な説明はなかったのは減点。(こちらも 「ここは日本だから何とかなる」 という油断があり、最初に確認しなかったのも悪いのだが)

さらに、1つ不満を感じると他の部分についてもイメージが悪くなるもの。前日車を借りる時、ネット予約した際の金額より、3~4,000円ほど高い金額が請求書に書いてあった。まあそれは単なる手違いだったようで、プリントアウトしてきた申込書を見せると 「間違えました」 と、予約時に提示されていた金額通りの支払いとなったが、もしこちらが先方の間違いに気付かなかったら・・・と思うと、やはりこれも減点。

まあ、人間のすることだから多少の間違いはつきもの。2日間、事故もなく安全に走れたのだから良しとしましょうと、いざ乗船手続きへ。

コビー号の受付はこちらと書かれた方へ進むと、意外に小さいオフィスだった。カウンターの向こうには男性と女性が1人ずつ。どちらの方も日本人のようだ。私たちは空いていた女性の方へ。パスポートとバウチャーを渡して手続きが終わるのを待っていると、その女性が 「もしかして〇〇大学の〇〇先生ですか?」 と。

その通りなのだが、夫はその女性とは面識がない。驚いて尋ねてみると、その女性も夫の勤務している大学に留学していて、間もなく卒業なのだそう。夫とは面識はなかったが、自分の友人から夫のことを話に聞いて名前は知っていたとのこと。こんなところでこんな偶然があるとは。本当に世間は狭い。

じゃあ、卒業式には大学で会えるかもしれませんね、などと話している間に、あっという間に手続きは終了。私たちは待合室へと向かった。この後、彼女には大変お世話になることになるのだが、この時は知る由もなく・・・。

1階の待合室は乗客の数に対して椅子が足りないのか、もう座るところがない。2階に売店があるとの表示があったので、乗船開始まで売店でものぞきながら待っていようと、2階へ。私は船内用にと飲み物を買う。夫は、先ほどドラッグストアで買った飲み物を・・・とリュックの中を探すのだが、ない。

どこを探してもない。ドラッグストアで会計し、品物が入った袋を受け取って、車の中に持ち込んだのは間違いないのだが、そこからどうしたか記憶があいまいだ。しかし私のカバンには入っていないので、夫のリュックの中にも入っていないとなると・・・先ほど返却した車の中に置き忘れた、ということになる。

飲み物だけなら諦めるのだが、一緒に買った薬は少々惜しい。そろそろ出国手続きの時間が近づいてきていたが、慌てて先ほどのレンタカー会社に連絡。事情を話したが、先ほどの車はまだ会社に戻ってきていないとのこと。車中に品物が残っていないかどうか確認して、折り返しこちらの携帯にかけてもらうようお願いして連絡を待つ。

10分ほど待っても連絡はない。1階の待合室にあふれるほどいた人たちは、1~2人を除いてすでにもう出国手続きをする建物へ行ってしまっている。諦めかけて、私たちも出国手続きの建物へと向かったが、この建物に入ってしまうともう引き返せないようだ。早く連絡が来ないかと手に汗握る思いで、建物入り口で待っていると、先ほどコビーの受付にいた女性が通りかかった。

事情を話すと、女性も快く協力してくれた。ちょうどレンタカー会社から、品物が車内に残っていたと連絡が入り、港まで持ってきてくれることになった。すると女性は私たちに代わって、レンタカー会社の人から品物を受け取るため走ってくれ、また出国手続きをする建物まで大急ぎで走って届けてくれた。

その頃には他の客はほとんど皆、出国手続きを終えて乗船していた。私たちが最後だ。その他の係員の人たちも親切に対応してくれ、私たちは無事に品物を受け取って乗船することができた。感謝、感謝だ。

コビーカウンターの女性、レンタカー会社の人、港の職員の方・・・と、多くの方々の手助けと協力のおかげだ。いやはや、それにしても車内に置き忘れていたとは、弁解の余地なしだ。レンタカー会社のサービスについて、「減点」 などと言っている場合ではなかった。自分たちのミスのせいで多くの人にご迷惑をかけてしまい、猛反省だ。

さて、気を取り直して乗船。この便もほぼ満席のようだ。行きの船では 『ハウルの動く城』 が上映されていたが、帰りは中国映画。15:40に出港して1時間半ほど経った17時過ぎ頃、西の空に夕日が沈んでいくのが見えた。窓ガラスに残る水しぶきの乾いた跡も写りこんでしまうが、なかなか美しい夕日だった。







夕日が沈んで30分ぐらいの17:40に、船は無事釜山に到着。この日は波が3mと高くけっこう揺れた。こればかりは天候次第なので仕方がない。

下船した私たちは、行きと同じく市内バス5-1番に乗車。釜山鎮市場で40番に乗り換えて、帰宅した。

釜山にいる間に、一度は行ってみたいと思っていた対馬。だがそれほど見どころが多いようにも思えず、今回の対馬訪問が 「最初で最後」 になるかもしれないなどと、出発前は冗談交じりで話していた。

ところが、実際に訪れてみた対馬はとても魅力的だった。美しい海に囲まれているので、夏は海水浴やシーカヤックなどマリンレジャーが楽しめるのは勿論、海以外にも史跡や文化財など見どころはたっぷり。食べ物もおいしい。夫も私もとても気に入った。今回は1泊2日という短い旅だったが、次回は是非もう少しじっくり時間をかけて島内のあちこちを回ってみたい。

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