真心たっぷり膳 2

dilbelau

2011年09月10日 21:10

つづき

噂に聞いていた通り、どのおかずも手が込んでいてとても丁寧に作られたものであることが、食べる前から分かる。彩りも鮮やかで目にも美しく盛りつけられ、高級한정식(韓定食)の1品として出しても遜色ない。これで6,000wとは驚きだ。一部のおかずやご飯はお代わりも可能だ。



写真ほぼ中央(▼)はナスの煮浸し風。とろけるチーズと3色の飾りがトッピングされている。青唐辛子も使われているので、ほんの少しピリリとした味がアクセントになっている。



写真左(▼)はシイタケなどを薄いクレープのようなもので巻いてある。巻いてあるものの生地も色とりどりで、舌触りもなめらか。非常においしい。右上はエビと野菜のサラダ。オリーブが味のアクセントだ。右下はナスのおかず。ニンニクがよくきいている。



生野菜のサラダ(▼)はドレッシングが実においしかった。ゴマソースにレモンのような柑橘系を加えたソース。とても爽やかだ。



左下(▼)は太刀魚のような薄い身の魚の干物をヤンニョムで和えたもの。手前の四角い食器にはクルミ。そういえばこの日のメニューには肉類は一切なく、かろうじてこの魚が少しあるだけだった。菜食を中心に献立を考えているのだろう。



他にも、海苔の和え物や깻잎(ケンニップ=エゴマの葉)の漬け物、ゴボウの煮物、青唐辛子の和え物、도리지(トラジ=キキョウの根)の和え物、ニラの和え物など。どれもこれも心がこもっていて非常においしい。

壁には女性主人直筆の文字。「この世のあらゆることはまず食事から」「おかずは少量ずつこしらえますので、メニューはその日によって違うこともあります」。なるほど、なるほど。確かにご飯は生きていく上での基本。こういう食事をいただくと、特に力が出る気がする。



私たちが日本人だと知って、店のおばさんは忙しそうに立ち働きながらもいろいろ話しかけてくれる。

「あら、日本の方?この店のことよくご存知だったわね」 私たちが日本の友だちから聞いたと答えると、「あー、あー、ちょっと前に来た人ね。あの人もう日本に帰ったの?」 Mさんのことを覚えてらっしゃったようだ。

韓国人男性と結婚した日本人女性の会のメンバーの方など、日本人客もたまに来るのだそうだ。そんな話をしていると、おばさんは予想外にも日本語を話し始めた。

流暢にとまではいかないが、日常生活の簡単な会話は充分おできになる。聞けば35年ほど前、1年間ほど広島で生活していたときに、知り合いの校長先生に直接日本語を教わったのだそう。

当時は新聞も読め、会話も今よりできていたが、今ではすっかり忘れてしまったと。今は勉強していないそうだが、35年前に勉強した日本語を今でもあれだけ話せるのはすごいと思う。

「オリーブのたくさんある島・・・」 と、小豆島に遊びに行ったときのことなど、今でもよく覚えているのだそう。

それにしてもたった1人で材料の買い出し、調理、配膳・下膳、洗い物までこなすとは。休みは週に1日のみ。好きでなければ続けられない仕事だろう。以前は今の店から少し離れたところで営業していて、今の場所に移転してきたのは半年ほど前なのだそう。

1人で全部こなしてすごいですねと言うと、「予約のお客さんしか取ってませんから」 と笑顔。1日に何人ぐらいの客が来るのか尋ねると 「まぁ、ちょっとだけね。そんなに多くないですよ」 と。

限られた数の客を心を込めて作った料理でもてなす店。まさに 「隠れた名店」 だ。是非また来てみたい。

소예(ソイェ)
釜山市水営区民楽洞164-23
(051) 752-1727
営業時間:昼食時のみ(予約必須、予約は当日の朝9時頃以降に、2名以上可)
定休日:火曜日
* 41番バス民楽方面 「동방시장(東方市場)」 下車、バスの進行方向に進んですぐの角を右へ。T字路に突き当たったら再び右に曲がるとすぐ左手にある。

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