とっておきの隠れ家 1
このブログを通して知り合った日本人友人のMさん。韓国訪問歴はソウル数十回、釜山十数回という大の韓国ファンであり韓国通でもいらっしゃる。ガイドブックにはのっていない “韓国上級者” 向けの名所やおいしい店、韓流スターのことなど、韓国在住の私たちよりはるかにお詳しい。
そんなMさんに “隠れた名店” を教えていただいた。場所は民楽洞の 「동방(トンバン=東方)오거리(オゴリ)」 という五叉路の近く。付近には동방시장(トンバンシジャン=東方市場)という市場がある。
「소예(ソイェ)」 という名の小さな食堂は、昼食時のみの営業でメニューも1つだけ。心を込めて丁寧に作るおかずとご飯・汁物(6,000w)だ。毎日市場に行って旬の材料を仕入れて調理するため、おかずの種類も日によって変わる。いわば 「日替わり定食」 なのだが、「定食」 と一言で言ってしまうにはあまりにもったいないほど、どれも手間ひまかけて作られている。
おかずを大量に作り置きしておいてたくさんの客に小出しにするのではなく、限られた数の全ての客に心を込めたもてなしをしたいという理由から、完全予約制をとっている。
また料理の充実ぶりとは似合わぬ6,000wという安さを維持するため、あえて店員を雇っていないのだそう。料理を作ったり運んだり食器を片付けたりするのも、全て1人でされているという女性主人。そのため必然的に1日におもてなしできる客の数も限られてくるというわけだ。
住宅街の一角にある店。通りに面している部分は全面ガラス張りなので、店内の様子が外からでもよく見える。店内はいたってシンプルな雰囲気。飾り気がないとも言えるほどだ。
観葉植物がいくつか置いてあるだけで、ごちゃごちゃとした装飾品の類は一切ない。真っ白な壁に小さなスピーカーが取り付けられているだけ。スピーカーからは耳に心地よい音楽が流れている。
店に入るとまず 「12:30の予約の方ですか?電話番号の下4ケタをおっしゃってください」 と、女性店主が少し早口の特徴のある口調でおっしゃる。予約客しか受け付けない店だが店頭にそういう表示はないので、通りすがりに入ってくる客もいるだろう。そのため1組1組、予約客かどうか確認している。
テーブルは4人掛けが5つ。奥には調理スペースがたっぷり取ってある。女性店主がエプロン・三角布姿でキビキビと立ち働いている。
すでに数組の客が食事中で、1組は食べ終えて出ていったところのようだ。空いている席に座るとほどなく、おばさんが大きなお盆におかずをのせて運んできてくれた。
何時に何人の客が来るか事前に分かっているため、それに合わせて客が来たらすぐ出せるよう、おかず類はお盆にセッティングしてある。あとは温かいご飯と汁ものをよそうだけだ。
つづく
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