猛烈に冷え込んだクリスマスイブとクリスマス。釜山では降らなかったが、ソウルなどではホワイトクリスマスになったそうだ。
そんなクリスマスの日、またあのサンマが食べたくなって 「세뚜리(セトゥリ)」 へ。店の定休日は日曜日だが、韓国ではクリスマスも祝日なので、土曜日でももしかして休みかもしれないと、電話で営業を確認してから。
いつものおばさんが 「寒いのによく来てくれたわね」 と迎えてくれる。いつもの백반정식(白飯定食)=4,000wを注文すると、まず温かい숭늉(スンニュン)を持ってきてくれる。
そしてほどなく、大きなお盆でたくさんのお皿が運ばれてくる。日によっておかずも汁物も替わるので、日替わり定食のように今日はどんなおかずが出てくるかな、という楽しみもある。
この日はほうれん草の和え物、海草の和え物、モヤシの和え物、漬けたての白菜キムチ、大根の水キムチ、焼き海苔、そして魚は太刀魚の干物の和え物。今日は残念ながらサンマはなかったが、どれもおいしく白いご飯によく合うおかずばかりだ。
そして汁物はモヤシと白菜のピリ辛スープ。いつも私たちがよく食べるからだろうか、ご飯が足りなかったらこれも食べてねと、ご飯を1つ余分に出してくれた。
おいしく食べ終えると、いつものように식혜(シッケ)を持ってきてくださる。私たちが店に入ったときにいた他の客はもう食べ終えて出ていき、店には私たちだけ。
おばさんは少しくつろいだ様子で、私たちのそばのストーブの近くに座り、コーヒーで一息つかれる。その後私たちはカフェに行く予定だったのでご遠慮したが、私たちにも 「コーヒー飲みますか?」 と聞いてくださる。
食べ終えてくつろぐ私たちと、コーヒーで一息入れているおばさん。いつも忙しそうにされているので、こんなふうにゆっくりお話するのは初めてだ。
店には毎日来る常連さんもいるそうで、おかずと汁物は毎日変えているのだそう。毎日メニューを変えるのは大変ではないですかと尋ねると、そりゃ大変ですよと。
特に最近韓国で話題になっている牛の口蹄疫のため、牛肉を使った料理は嫌がる客もいるのだそう。口蹄疫ウィルスは人には感染しないと分かっていても、敬遠する人が多いのだそうだ。そのためメニューも制限されるため、より大変なのだと。
普通の住宅を改造して、食堂として使っているのだろうというのは外観からも見て取れるが、1階は食堂で2階で住まわれているのだそうだ。
そのため、ご家族の朝食の準備も兼ねて昼食時に出すおかずの支度をし、昼食時の忙しさが去ると2階に上がって少し休憩し、また夕食時の支度をするのだそうだ。よく働かれるおばさんだ。
定休日である日曜日には、ご主人と一緒に食堂で使う食材の買い出しに行かれるのだそう。近所の市場で仕入れることもあれば、先日は全羅南道まで行かれたのだそう。おいしいおかずを作ることに対するこだわりが感じられた。
釜山の人は知らない人には冷たいが、いったん親しくなるととても情が深い、とはよく言われる表現だ。このおばさんもまさにそうだ。初めてこの店に行ったときには、ぶっきらぼうな方だなという印象さえ受けたものだが、数回通ううちに素敵な笑顔を見せてくれとても親切に対応してくださるようになった。
これからも私たちが釜山で暮らす限り、たびたび通うことだろうと思う。
세뚜리(セトゥリ)
釜山市水営区南川洞33-14番地
(051) 626-2715
営業時間:11~20時
定休日:日曜日(日曜日でも予約すれば可)