カフェに出勤する人々 第1話

dilbelau

2010年07月10日 09:16

昨日、韓国ではカフェで数時間も長居する人が珍しくない、ということを書いたが、まさにそれに関連する面白い記事をある雑誌で見かけたので、以下ご紹介。

『Magazine 주간한국(週刊韓国)』 2010.6.22 / 2328号の 「Special Ⅱ・カフェに出勤する人々」 (전세화記者)より
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「コーヒー専門店を個人空間のように」

-IT発達のおかげで、コーヒー1杯を横に置いて勉強や仕事をする ”coffice(コフィス)族” 増加-

 カフェは、その時代の文化や社会性を含蓄して見せてくれる空間だ。最近、コーヒーチェーン店やコーヒー専門店に行ってみると、雰囲気が以前とは全く違う。お茶を飲みながら談笑する古典的な風景ももちろん見られるが、一人でいる人たちが目立って多い。パソコンをつけて一日中作業したり勉強したり、またインターネットショッピングをしたりする人たちが、時にはカフェを占領しているかのようだ。別名 「코피스(coffice=コフィス)族」 だ。
 
「大型コーヒーハウス、デジタル漂流族の空間」

 就職準備生である최(チェ)さん(26歳女性)は、ほとんど毎日コーヒー専門店を訪れる。彼女は ”就職の準備をする同年代の友達も、大半がカフェで勉強をする” と話す。2年前から、フリーランサーとして広報やマーケティングの仕事をしている김(キム)さん(36歳男性)も、パソコンを持ち歩きコーヒー専門店を事務所のように利用する。

 彼は ”収入が一定していないフリーランサーにとって、1日に何千ウォンだけ払えばおいしいコーヒーが飲め、自由に仕事をすることもできる理想的な作業室” だと、満足そうだ。

 何年か前に名誉退職したある50代の男性も、カフェ常連客だ。彼は、カフェで一日の半分ぐらいを過ごし、人と会ったり新聞を読んだりパソコンでメールをチェックしたりすると言う。

 スターバックス・ソウル光化門店。コーヒー1杯を前に置き、勉強や仕事をする人たちで一日中混み合っている。学生、就職準備生、フリーランサー、引退した人たちが多い。年齢は20代前半から60代までさまざまだ。ほとんどが3~4時間以上の長時間店にとどまる客だ。中には朝から来て、8~9時間ずっといる人もいる。

 スターバックス光化門店の김명일(キム・ミョンイル)店長は、入社初期である10年前と比べ、現在のカフェ利用形態が大きく変わったと話す。以前はほとんどが、待ち合わせ場所として利用されていたが、今ではパソコンを持ってきて勉強したり仕事をしたりする客が大多数を占めるということだ。また、ソゲティン(軽いお見合い)など、特別な日に利用していた場所から、日常的に利用する場所へと変わったと、付け加えた。

 スターバックスのような大型コーヒー専門店は、”定年まで働き続ける職場” の概念がなくなった今日、デジタル漂流族の人生の断面を最も生々しくうかがい知ることのできる空間だ。彼らは、携帯電話とパソコンを持ち歩き、時や場所にとらわれず、自由な雰囲気の中で仕事をする。彼らにとって、無線インターネットが利用でき、気をつかう必要のない大型コーヒー専門店は、最適な場所だといえる。

 多くのコーヒー専門店が、彼らのために施設に努力を傾けている。スターバックス・コリアの박한조(パク・ハンジョ)主任は、”이대점(梨花女子大店)・1号店のリニューアルをはじめとし、それ以降オープンする店はパソコン利用者のために、コンセントの設置をそれまでより2~3倍増やしており、より楽な姿勢で作業することができるよう、原木テーブルの配置も増やしている" と話した。

 coffice(コフィス)族を狙って、24時間営業する店も増えている。コーヒーチェーン店・TOM N TOMSは、170余りの店舗の中で40余りの店を24時間営業している。TOM N TOMS・홍대(弘益大学)パーク店の場合、売り上げの半分以上が午後3時から夜中までの夜間帯に発生する。夜間にカフェを利用する客は、20~30代の求職者やフリーランサーが主となっているというのは、売り場の職員の話だ。



(▲スターバックス梨花女子大付近に100席規模の1号店がオープン。ソウル新聞1999年7月28日第8面記事より)

つづく

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