'09.3.25(水)散ってもなお
アパート前に植えられている椿の木。咲いている花はもちろんだが、花の命を終えて地面にボトリと落ちた椿も、咲いている花に負けず劣らずの存在感。
散り落ちても、なお目を引く椿。
以前読んだ、茨木のり子さんの 『ハングルへの旅』 という本の中に、
ボトリと落ちて散る花の代表として椿が思い浮かぶが、韓国の国花であるムクゲも同じく花びらを散らさずにポトリと落ちる。しかし、椿が開ききった姿のままボトリと落ちるのに対し、ムクゲは開いた花びらをクルクルと巻くように再びすぼんで、身支度を整えてから落ちる。
というような意味の文章が書かれていたのを思い出す。
なるほどムクゲは咲いたあと、またつぼみに戻るような形になってから落ちる。それを、身支度を整えてから…と表現した茨木さんの感性にも感じ入ったし、そう言われてみれば確かにそうだと新しい発見をしたかのように感じたのだった。
椿のすぐそばには桜並木があり、人々の関心はもっぱら開き始めた桜に奪われているが、まるで 「私はまだここで咲いているわよ」 とでもいうように咲き誇っている椿の姿だった。
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