2008年11月21日(金)「日本人」のイメージ

dilbelau

2008年11月21日 20:32

さて、釜山方言バリバリのおばさんたち6人と一緒に、歩いて15分ほどのカルククス(うどんのようなもの)の店へ。見た目はごく普通の、どちらかというと小さめの町の食堂。

おばさんが1人で経営しているらしく、いっぺんに7人分のカルククスを注文され、忙しそうに準備される。待っている間も、やはり釜山方言の嵐。(^^)
釜山方言は、Sオンニでわりと慣れている方だが、やはり集団になると迫力が違う。

はじめはアクアビクスの会員たちで、インストラクターの先生を招いて食事に行く相談をしていたのだが、そのうち私に「日本」や「日本人」についての話がふられてきた。

おばさんたちの印象として日本は、

* とにかく外食が高い。刺身の盛り合わせを頼んだら、ちょぼちょぼっと数切れずつ盛られ、飾りの木だけがやけに大きくて(舟盛りのことらしい)、刺身の量は少ないのにすごく値段が高かった。
* 小皿で出てくるたくあんが、必ず2~3切れしか入っていない。(韓国はもっとたくさんドバッと入ってくる)
* 韓国では無料の小皿のおかずが、日本ではいちいちお金を払わねばならない。

など、とにかく食事の量が少なく値段ばかりやけに高い、という印象が強いようだった。

また、日本人についてのイメージは、

* 利己主義で、情がない。
* 心では何を考えているのか、分かりにくい。(感情を出さない)
* 心を開くまでに時間がかかるが、反面、いったん相手のことを信用すると深く付き合うようになる。

などだそうだ。

なるほど~。どの意見も、韓国に住んでみて韓国人と付き合ってみると、韓国人がそういう印象を持つというのがよ~く理解できる。利己主義というのは、自分勝手という意味ではなく、「自分は自分、他人は他人」というイメージだそうだ。

確かに食事一つとっても、「分けて食べる」文化をもつ韓国の人から見れば、日本人のスタイルは「私は私の分を食べ、あなたはあなたの分を食べる」というように見えることだろう。

そう言えば私がこちらへ来て間もないころ、2人連れ以上で食堂で食べている韓国人が、必ずといっていいほど、相手の(自分以外の)人の食べているお皿からも、当り前のように食べているのを見て、何だか不思議に思ったものだった。

それと同じように、日本人の食事スタイルは韓国人の目には不思議に映るのだろう。

どんな少しのものでも分け合って食べる。

朝鮮戦争のとき、避難民が集まってみんなで肩を寄せ合って、苦しい状況の中でも、それでも生きるために必死だったころ。そのころの、みんなで協力し合って助け合って生きた、その精神が現在にも根強く残っているのだろうかと私には感じられる。

それが「分け合って食べる」文化となって根付いており、また挨拶代わりの「ご飯食べた?」という言葉に象徴されていると思う。

さて、そんな話で盛り上がっていると、カルククスが出てきた。しかし店のおばさん、数を数え間違えたようで、7つ注文したのに6つしか持ってこない。それを指摘されて、「え?7つない?」と。

また数えてもやはり6つしかない。

おでこに手をやって「あっちゃ~…」という表情の店のおばさんに、アクアビクスおばさんたちは、「いいよ、いいよ。分けて食べるから。器だけもう一つ持ってきてくれればいいから。」と。

すると店のおばさんも 「すいませんね~」と言いながら、器を持ってくる。

こういう融通がきくところも、韓国ならではだと思う。アクアビクスおばさんたちは、特に気を悪くすることもなく、空の器にあちこちからカルククスを分けて入れ、最後にできあがった器のカルククスが一番量が多いような状態に。(^^)

「ちょっと、ちょっと、多過ぎるわよ~!」などと、きゃっきゃ言いながら楽しくいただいた。

ちなみに、この店のカルククス、オンニがおいしい店だと言っていた通り、特にスープがとてもおいしかった。一緒に注文したキムパップ(のり巻き)も、いいお味。

そして、食べ終わったころにオンニが、

「昨日私の誕生日だったんだけどね…」と話し始めた。

「朝、ドアをノックする音がするから誰だろうと出てみたら、この人(私)がご主人と2人立ってるのよ。で、2人一緒に 『お誕生日おめでとうございます』 って言いながら、プレゼント持ってきてくれてねー。もう嬉しくてうれしくて、涙が出そうになって…。ご主人と握手しちゃったわー」

と、話すオンニの目も涙目になっていた。

そんなに喜んでもらえたんだと、私もとてもうれしかったし、今年の4月に出会ってからのオンニとのいろいろなことが思い出され、私もジーンときた。

「私誕生日だったから、今日はここは私が出すから」と、オンニが7人分支払ってくださった。年配のアクアビクスおばさんたちには、

「カルククスの麺のように、長ーくいつまでも健康でお過ごしくださいね」なんて、粋なことを言いながら。

とてもおいしくいただいたのだが、ただ一つ残念なことは、おいしかったので次は夫と一緒に食べに来ようと思ったが、路地をあっちに行きこっちに曲がりながら行ったので、場所を覚えていないこと…><
またオンニに教えてもらおう。

さて、店を出て、近くの市場に寄って帰る。この市場はけっこう大きく、活気もある。肉・魚・野菜・果物・漢方材料・靴・服…なんでも売っている。

アクアビクスおばさんたちは、店頭でおいしそうに炊いているぜんざい(3000ウォン)に心を奪われ、買っている人が多かった。金魚すくいの輪っかの針金のようなものに、ビニール袋を器用にひっかけ、そこに柄杓ですくったぜんざいを入れていた。

おばさんたちとも別れ、またオンニと2人歩いて帰る。片道2キロぐらいの道を往復し、またアクアビクスでもよく運動し、心地よい疲労感。

ちょうど日が暮れて、オレンジ色と水色が混ざり合ったような空がとても幻想的だった。



やがてアパートに到着し、楽しい1日だったとオンニにお礼を言ってそれぞれの部屋に入る。ほどなくオンニがやってきて、

「ぜんざい、量が多かったから少しどうぞ」

私たちには量が多過ぎるなーと思って、買い控えていた私に、後で少し分けてあげようと思ってくれていたのだろう。これはぜんざいというより、まさしく「小豆粥」。韓国では冬至の日に食べるのだそうだ。



夫と一緒にいただきます。ありがとう、オンニ!

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