夕方帰宅すると、オンニが「今忙しい?」と言いながら来られた。忙しくなかったら毛染めを手伝ってくれないかと。以前にそういう話が出たとき、自分でやりにくい部分は私が手伝いますよと言っていたのだった。
毛染め剤を混ぜて、白髪が目立つ(と言っても、他の部分に比べたら、という程度)額の生え際を中心に塗ってほしいというリクエスト。途中、「イカ」がどうとかで「匂いがあんまりしないでしょ」と言う。急にイカの話が出てきて一部聞き取れなかったので、何回か聞き返すと、何とその毛染め剤は一般的なものとは違い、イカ墨を材料に作ったものなのだそうだ。
なので、一般的な毛染め剤特有のツンと鼻にくる匂いは全くしない。それでいて、よく染まる。天然素材だし髪や地肌にも優しそう。日本にもこういう製品があるのだろうか。
さて毛染めが終わって、いただきもののアンパンをすすめると、さっき 충무김밥(チュンムキンパップ)を食べたから、あんまりおなか空いてないのよ、と。
충무김밥(チュンムキンパップ)というのがどういうものか知らなかったので尋ねると、「じゃあ、今作ってみせてあげようか?」と。一旦家に戻られ、各種材料を持って来てくれた。
충무김밥(チュンムキンパップ)というのは、もともと충무(忠武)(*注1)というところで、船の中でアジュンマたちが売っていたのり巻きなのだそうだ。一般的なキムパップとは全然違うものだと。
オンニが実演してくれた。一般的なキムパップより随分細くて、長さも半分以下。一般的なキムパップとは違い、具は全く入っていない。ただ、普通のご飯をこのようにクルクルとのりで巻くだけ。
そしてオンニが力を込めて言う。
「충무김밥(チュンムキンパップ)を食べる時、何が重要かと言うと!」
「このイカのキムチと大根のキムチ、そして충무김밥(チュンムキンパップ)、この3つを代わる代わる食べること!」
なのだそうだ。
お皿の上左側が大根のキムチ、右側がイカのキムチ。
この충무김밥(チュンムキンパップ)を食べる時には、白菜のキムチでもなくカクトゥギでもなく、この大根とイカのキムチでなければならない!のだそうだ。
それらのキムチを口に入れ、この全く味をつけていないのり巻きを頬張る。これが충무김밥(チュンムキンパップ)の正しい食べ方なのだそうだ。^^ 確かに、のり巻きには全く味がないので、このパンチのきいたキムチ類がよく合う。また大根の歯ごたえもよい。なるほど~。
さらに、さっき作った汁ものがあるから少しあげようか?と。いただきに行くと、ご主人がにこやかに迎えてくれた。私を見るなり、「ハンシンを知ってるか?」と。「ハンシンのカネモトは韓国人なんだ。ホームランをよく打つ。」とか「コーシエンの土は何であんなに黒いのか知ってるか?」とか、いろいろ質問してくれる。もともとそういう種類の黒い土なんじゃないですかと答えると、「土をいったん焼いて使っているからあんなに黒いのだと聞いたが…」。
「おれはヨミウリのファンなんだ。ハラタツノリ監督の」、「ナゴヤにはチューニチがあるだろう」などと、野球がお好きなようで身振り手振りを交えて、いろいろお話してくださった。
さてオンニの汁もの。
薄く切った豆腐・大根・干し海老などが入った、おすましのような感じだが、やはりここにもコチュが入っていてピリッとしている。
やがて夫が帰宅し、オンニからいただいたものを見せて話をしていると、再びオンニがおかずを持ってきてくれた。
今度は비빔밀면(ピリ辛に和えた麺類)を持って。
今までのことを振り返っても、どうもオンニは一品何かをくださると、連鎖的にあれも、これも、とつづけさまに持ってきてくれる傾向がある。(^^) 今日も、オンニからいただいたものだけで夕食になる程。
早速2人でいただいた。オンニに教えてもらった通り、大根とイカのキムチを충무김밥(チュンムキンパップ)と一緒に。しかし、このキムチ、予想以上に辛さのパンチがきき過ぎていて、私たちは2人ともノックアウト…。あ~辛かった…><